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取材に応じる松島泰勝・龍谷大教授=2023年2月1日午後2時36分、京都市伏見区の龍谷大学、須藤龍也撮影
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 「反日ナショナリズムなんて言葉、一度も使ったことがない。全く見覚えのない記事です」

 龍谷大学の松島泰勝教授は、記者が渡した記事のコピーを見て、開口一番に言い切った。

 松島教授のもとを、記者が訪ねたのは昨年2月のことだ。日本からの沖縄の独立論を研究する松島教授らの主張や発言を取り上げたネット上の記事を見つけ、その真偽を確かめるためだった。

 沖縄県の石垣島で生まれた松島教授は、昭和初期に県内の墓から持ち出された遺骨の返還運動の中心人物で、著書に「琉球独立への道」がある。学際的な研究組織「琉球民族独立総合研究学会」で、かつて共同代表を務めていた。

 学会が拠点を置く沖縄でも、独立論を唱える人はごく一部に限られる。だが、沖縄に米軍基地が集中している安全保障環境のなか、独立論は軍事的に台頭する中国を利するものだとして、保守系の論者たちからしばしば批判や攻撃の対象となる。それだけに、松島教授はつとめて冷静な議論や説明を心がけてきたつもりだった。

 ところが今回見つかった記事には、逆に対立をあおるような表現が含まれていた。

 松島教授が反発した「反日ナショナリズムを復活させた沖縄」という見出しの記事は、同じ研究学会で独立論を研究してきた別の大学教授のインタビューを中心とした構成だった。だが、記事には見出しのような表現は見当たらず、教授の名前の漢字も間違っていた。

あふれる真偽不明のニュース、発信源に迫る

 インターネット上には、誰が、何のために発信したのか分からない真偽不明の情報やフェイクニュースがあふれています。沖縄をめぐる不可解な記事の発信源をたどると、ある配信サイトにたどり着きました。陸、海、空、宇宙、サイバーに続く「第6の戦場」とも言われる「認知空間」。各国の研究機関がしのぎを削る情報戦の最前線を追いました。

 「日本政府の人権侵害を止め…

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