東京・中野のシンボルとして、全国的に知られた「中野サンプラザ」の建て替えは迷走の末、暗礁に乗り上げた。計画が頓挫した背景に何があったのか。関係者への取材で迫った。
「ホールも展望施設も、がっかりだよな」
2025年2月末、中野区長の酒井直人は周囲にこう漏らした。酒井が失望したのは、野村不動産など事業者グループが示したサンプラザの新たな建て替え案だった。
物価高で高騰した建設コストを少しでも下げるため、当初案の超高層ビル1棟から、高さを低くした2棟にする。住宅割合を4割から6割に増やす一方で、オフィスを4割から2割に減らし、収支が改善するとしていた。
再開発計画を進めるに当たって酒井は区民や区議会に再三、「サンプラザのDNAの維持」を強調。区民が交流できる7千人規模の大ホール、ホテル、バンケット(宴会場)に加え、子どもの遊び場や展望施設も十分確保されるかという点を重視していると説明してきた。
中野サンプラザ再開発はなぜ頓挫したのでしょうか。酒井直人中野区長と野村不動産と交渉の内幕から、両者の思惑と、そして徐々に開いていく「溝」をたどります。
■徐々に明かされた「ツインタ…