「核兵器を廃止せよ」と訴える横断幕を掲げてビュッヘル空軍基地の前の交差点に立つ反核団体の女性たち=2025年7月16日、ドイツ西部コッヘム近郊、宋光祐撮影

 ベルギー国境に近いドイツ西部のビュッヘル空軍基地。軍服姿の兵士が警戒に立つ正面ゲートの近くで、平和団体のメンバー約10人が7月16日早朝、「今こそ核兵器廃絶を」と記した横断幕を掲げた。デモを呼びかけたマリオン・キュプカーさん(61)は「大量破壊兵器に抵抗する意思を示したい」と訴えた。

 基地内には通勤する兵士らの車に交じって工事用車両が出入りし、敷地の外からは大型クレーンも見える。核弾頭を搭載できる米国製のF35戦闘機の新たな配備に向けて、滑走路などの拡張工事が続いているとみられる。

 欧州には、北大西洋条約機構(NATO)の同盟関係に基づき、米国が「核の傘」を提供してきた。米国の核兵器を共同で運用する「核共有」の仕組みとして、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、トルコの5カ国に合計で150発程度のB61核爆弾が配備されているとされる。

国別の核弾頭数、世界の核弾頭総数の推移

米ソが対立した冷戦期の「第1の核時代」、冷戦後に核兵器が役割を減らした「第2の核時代」に続き、現在は核兵器が再び国際政治の中心に返り咲いた「第3の核時代」とも言われます。広島、長崎への原爆投下から80年。欧州や米国をはじめ世界で何が起きているのか。連載で報告します。

 ドイツではビュッヘル空軍基…

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