【ニュートンから】ペット医療の最前線(1)

身近なペットであるイヌやネコ。その平均寿命は近年,右肩上がりだ。ペットの長寿命化をあとおししているのは,生活環境や食生活の変化,そして獣医療の進歩だ。人間と同様,ペットにもさまざまな診療科があるが,それぞれどのような治療が行われているのだろうか。専門家の見解をまじえながら,ペットを支える獣医療の最前線を紹介しよう。

イヌとネコの平均寿命は,年々長くなっている。ある統計データによると,2023年における平均寿命はイヌが14.6歳,ネコが15.8歳と,過去最長級だ。20年ほど前はイヌとネコの平均死亡年齢がそれぞれ7.2歳,5.1歳だったという報告もあり,ここ20年で寿命が2倍近くものびたことになる。

2010年から2023年にかけてのイヌとネコの平均寿命の推移を示した。イヌ,ネコともに平均寿命は右肩上がりとなっており,ペットの生活の質の向上や獣医療の進歩を反映していると考えられる。イヌでは,超小型犬や小型犬の寿命が,中型犬や大型犬よりも長い傾向となっている。ネコでは,完全室内飼育のネコの寿命が,そうでないネコよりも長い傾向となっている。グラフは,一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査(2023)」のデータを元に作成した。

 イヌやネコは家族のような存在だとして「コンパニオン・アニマル(伴侶動物)」というよび方が広まってきている。室内飼いがふえ,栄養バランスがととのったペットフードも普及している。こうした生活面での変化に加え,長寿命化に大きく貢献しているのが,獣医療の進歩だ。

「がん」はイヌの主な死因になっている

 イヌやネコの長寿命化にともない,ふえてきている病気の一つが「悪性腫瘍(がん)」だ。がんはイヌの主な死因にもなっている。

 ペットのがん検査は,ヒトの…

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