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御厨貴さん

 憲政史上、極めてまれな少数与党政権による通常国会。150日間に及ぶ与野党の論戦は、どんな成果と課題を残したのか。7月の参院選に向けて動き出したこの国の政治は、激動する世界の中でどこへ向かっていくのか、政治学者の御厨貴さんに聞きました。

 ――日本政治のいまをどう見ていますか。

 「自民党内基盤は弱い、少数与党という『ないないづくし』の石破茂首相が、森山裕幹事長との二重奏で、日々乗り切っているのが特徴です」

 「政治は、いまの状況を規定し、主導権を握るのかが勝負です。現状では石破・森山のコンビはそれに成功しています。大きなポイントだったのは、内閣不信任決議案をめぐる与野党の駆け引きでした。石破首相は不信任案が提出された場合、採決を待たずに解散する意向を周囲に伝えたと報じられ、これで野党は身動きが取れなくなりました」

 「特に野田佳彦元首相が代表として率いる野党第1党である立憲民主党は、与党を攻撃する際にも、他の野党との連携を模索する点でも、存在感をアピールできていません。18日には、ガソリンの旧暫定税率を廃止する法案をめぐって、立憲民主党など野党6党が、衆院の財務金融委員長の解任決議を提出し、可決されました。衆院での常任委員長解任の可決は史上初ですが、委員長を解任しても参院では与党多数のため法案成立の見通しが立たず、主導権は取れません。衆院で多数を占める野党の『アリバイ証明』のように見え、野党による状況規定にはならないでしょう」

 「逆に、与党にいても冷や飯を食べていた時代が長く、政権や自民党の執行部を批判する側だった石破首相は、批判を受ける側に回っても、野党の批判をかわすことがとてもうまい。少数与党という難しい立場ですが、野党各党が攻めあぐねている状況だと思います。国会を乗り切る運転技術が徐々に向上しているのではないでしょうか」

静止画の政界で「化けた」コンビ

 「この半年であの2人は政治…

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