【動画】バイヤーたちの暗転 ー高級時計買い付け「キーマン」を追えー
その家では、リビングを囲むように写真がずらりと四方の壁に飾られていた。
被写体はどれも同じ男性。大学卒業時のものだったり、マラソン大会に出た時のものだったり。どれも笑顔だった。
篠原洋平さん。44歳だった2019年12月、心筋梗塞(こうそく)で亡くなった。
「あんなトラブルがなければ」。千葉県松戸市の自宅で、記者を前に父親(82)の口調に力がこもった。
篠原さんは亡くなるまでの約1年間、精神的に追い詰められていた。自殺未遂も起こし、薬の副作用で約30キロ太って寝込むことが増えていた。
約2千万円に上るクレジットカード債務が、心労の原因だった。
その死から4年あまりが経った今年2月。両親は朝日新聞の記事を目にした。
《海外で腕時計買い付け、「仕事」のはずが多額債務》
「せがれの件とまったく同じだ」
そんな見出しで始まる記事で…