女性の退職を告げる通知書。子育てとの両立がかなわず、正規の教員をやめた(画像を一部加工しています)=2025年6月17日、本間ほのみ撮影

 「皆さんの負担になるので、辞めます」

 関東地方の女性(38)は昨年、教員として勤務していた公立中学の校長に、そう告げた。育児との両立が難しく、部分休業を取得して短くしていた1日あたりの勤務時間を、さらに2時間短くできないかと相談したが、かなわなかった。「人手の確保が難しい」と困っていた校長が、女性を引き留めることはなかった。

 できることなら教壇に立っていたかった。でも、「子育てをしながら、教員を続けるのは、私にとっては難しかった」。

感じたやりがい、長時間勤務は当たり前

 新卒で中学校の教員になった。「将来の保険に」と教職課程を取ったが、大学4年生で参加した実習で、気持ちに火が付いた。教員の声かけで前向きに変わる生徒たちの姿を見て、子どもと向き合う素晴らしさに気づいた。猛勉強をして教員採用試験に合格。もらっていた企業の内定を断り、教職の道へ進んだ。

 やりがいは大きかった。誰も…

共有
Exit mobile version