判決後の会見に参加した原告の女子中学生=2025年9月11日、札幌市中央区、朽木誠一郎撮影

 聴覚障害がある北海道札幌聾(ろう)学校の子ども2人の思いは、再びはね返された。幼い時から使ってきた手話で授業を受けられなかったことの是非が争われた訴訟の控訴審。札幌高裁は11日、訴えを退けた。

 斎藤清文裁判長が判決を読み上げるなか、中学生になった原告の女子生徒は、硬い表情で手話通訳者の手元を見つめていた。

 原告の2人が使っているのは「日本手話」。日本語の文法に合わせて単語ごとに手の動きを当てはめる「日本語対応手話」と異なり、独自の文法体系を持つ。

 訴状によると、2人は札幌聾学校でも日本手話で学べるクラスに在籍していたが、途中から日本手話がほとんどできない教員が担任になった。授業を理解したり、交流したりすることができず、「学びが著しく阻害される事態」になり、精神的苦痛を受けたという。

 幼い時から使ってきた手話で授業を受けられなくなり、憲法で保障された「ひとしく教育を受ける権利」を侵害されたとして、道に各550万円の損害賠償を求め、提訴していた。

 控訴審では、いまは別の中学校に通う原告の女子生徒が、初めて法廷に立った。自らの言葉である日本手話で証言し、理解を求めた。

 だが、高裁判決は、日本手話で教育を受ける権利は憲法で具体的に保障されているわけではないとの判断を示した。

 札幌聾学校は、ホームページで「日本手話を基盤として、日本語の読み・書きの力、学ぶ力を育てます」とうたい、原告は入学前に日本手話を基盤とした教育を受けられるとの説明を受けていた。判決も認めている。

 だが、実際は日本手話は徐々…

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