ウクライナや中東など不安定な国際情勢が続くなかで、米大統領選は11月5日に投票日を迎えます。「不安」は有権者の意思決定にどんな影響を与えるのでしょうか。米国で暮らす人々が抱く不安・不満とは? ボストンで暮らすハーバード大学医学部准教授で小児精神科医の内田舞さんに聞きました。
もっと知りたいアメリカ大統領選2024
アメリカ大統領選の行方に世界が注目しています。日々のニュースの疑問やこぼれ話や情勢を読み解くヒントなど、選挙をめぐって知りたいあれこれを、専門家のインタビューなどを通じてお伝えします。
――2016年にトランプ前大統領が当選したときは、白人労働者層の不満をすくい上げたことが勝因とされました。前回20年のトランプ氏とバイデン大統領の戦いでは、新型コロナウイルスへの対応が争点となりました。
今回も、トランプ氏あるいはハリス副大統領が政権をとった場合に予想される政策に不安を感じ、その不安を回避するために投票先を決める人がいるでしょう。
ただ、不安に襲われた状態で情報を集めることには危険も伴います。たとえば新型コロナが大流行したとき、不安にさいなまれている人はわらにもすがる思いで自分の求める情報を得ようとしました。ワクチンは安全なのだろうかという疑いを持つと、「ワクチンは危険」という主張ばかり見てしまう。自分の推測や思い込みを肯定する情報を集めてしまいます。
――大統領選でも同様の懸念…