内科医で、高松市に暮らす小林稔さん(49)。
「南くんの恋人」などの作品で知られる漫画家の内田春菊さん(65)。
一度も顔を合わせたことがない2人が数年前、思いがけない形でつながった。そして、小林さんが情熱を傾けてきた、「オストメイト」(人工肛門(こうもん)や人工膀胱をもつ人)の気持ちを変える製品が完成にこぎつけた。
話は2017年にさかのぼる。
小林さんは本職の隙間時間に、医療メーカーから取り寄せた「パウチ」とにらめっこしていた。
パウチとは、オストメイトが腹部につけて排泄(はいせつ)物を受ける装具のこと。大半が透明やうすだいだい色といったシンプルなデザイン。小林さんは、それを「使う人の気持ちを前向きにするため、おしゃれにしたい」と思案していた。
きっかけは大学病院の同僚だった8歳年上の先輩医師が膵炎(すいえん)になり、腸閉塞(へいそく)を起こしオストメイトになったこと。専門的な治療に携わった経験はなかったが、悩みを聞くなかで「何か力になりたい」と考えた。
でも、思った以上にハードルは高かった。
ダメ元で試作品を送ってみたら・・・
パウチそのものに手を加える…