旭洋造船の越智勝彦社長=2024年10月22日、山口県下関市、高橋豪撮影

 過去に比べて世界シェアが落ち、劇的な回復も望みにくい産業に対し、政府は限られた資源で何をてこ入れすべきか。かつては日本が強かったが、中韓勢に押されて苦戦を強いられる造船業にも当てはまる難題だ。業界中堅の旭洋造船(山口県下関市)の越智勝彦社長は、補助金よりも国に力を入れてほしいことがあると訴える。

 ――造船業では、政府の補助や規模で勝る中韓勢が台頭し、国内の造船所は後れを取りました。これまでの政府の造船業への対応をどう感じますか。

 「島国の日本は輸出入の99%が船で行われることを考えると、経済安全保障の観点からも国内に相応な生産能力を持つ造船所が絶対に必要です。国として育成と維持をバックアップしてほしいです。残念な話ですが、私は、韓国、中国と比べて日本では造船に対する国としての思い入れが弱いように思います」

 「2000年前後に円高が進んだ時のことですが、製造拠点を日本からベトナムや中国、バングラデシュなどに移せという声が高まりました。国内でのものづくりに対して否定的な雰囲気が、世論全般に広がっていたように思います」

 ――ただ、最近は造船業への…

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