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2010年9月17日、米ワシントン州シアトルで行われたレンジャーズ戦の三回に中前安打で出塁し、二塁に続き三塁盗塁も決めるイチロー=樫山晃生撮影
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 ボテボテの内野ゴロに打ち取られた……と思ったら、送球よりも早く背番号51が一塁ベースを駆け抜けていた。

 出塁すれば、何度も牽制(けんせい)されても盗塁を決めてしまう。

 その光景はよくみられた。マリナーズだけでなく、ヤンキースやマーリンズに移籍しても。年齢が40歳を超えてもだ。

 凡打を単打、単打を二塁打にしてしまう、イチロー氏(51)の真骨頂とも言われる。大リーグ通算19年間で積み上げた内野安打は713本だ(米記録サイト、ベースボール・レファレンスから)。

 アウトがヒットになってしまうのだから、対戦相手は気落ちしてもおかしくない。実際、試合後に対戦相手を取材していると、イチロー氏の足を嫌がるコメントをよく耳にしてきたものだ。

 その存在は、捕手の目からはどう見えていたのだろうか。

屈指の捕手が見たイチロー氏

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 捕手として13度もゴールドグラブ賞に輝き、2017年に米殿堂入りしたイバン・ロドリゲス氏(53)も、イチロー氏の「足」に翻弄(ほんろう)されたと振り返った。

 01~02年はイチロー氏のいたマリナーズと同じア・リーグ西地区のレンジャーズに所属。イチロー氏は巧みにバットを操り高い確率でヒットゾーンに落とす技術に、凡打を安打に変えられる走力も兼ね備えていた。

 ロドリゲス氏自身がマスクをかぶった試合も含めて、「よく打たれた」と苦笑いする。

 特に対戦機会が多かったデビ…

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