A-stories 「きょうだい間格差」私も愛して欲しかった②
ほかのきょうだいに比べて、親からの愛情に差があったのではないかと悩む人は少なくありません。社会心理学を専門とする新潟青陵大教授の碓井真史さんは「きょうだいは生まれながらのライバル」と指摘します。なぜきょうだい間でさまざまな葛藤が生じるのでしょうか。碓井さんに聞きました。
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――きょうだいの間で不平等を感じることは、よくあるのでしょうか。
よくあるというか、それが基本だと思います。たとえば上の子にとっては、生まれたときは一人っ子で、親の愛情も、おもちゃも独り占め状態です。ところがある日突然、赤ちゃんがやってきて、親の愛情がそちらにも注がれてしまう。
一方で下の子にとっては、生まれた瞬間から自分より大きい子どもが家にいて、母親のひざもおもちゃも奪おうと邪魔してくる。きょうだいは生まれながらにして、闘う相手なのです。
――要は、けんかの原因は「親の愛情の奪い合い」なんでしょうか。
心理学的にはそういうことになります。たとえば「お兄ちゃんの方がハンバーグが大きい」と下の子が文句を言うのは、そのこと自体に腹を立てているわけではありません。兄の方が愛されていて、自分は愛されていないと感じるからなんです。
それこそ旧約聖書に登場するアダムとイブの息子、カインが弟アベルを殺害する物語は嫉妬や憎しみといった感情がもたらす悲劇を描いており、普遍的なテーマです。
――ハンバーグの大きさをめぐるけんかなら「よくあること」ですみます。どういう場合により深刻化してしまうのでしょうか。
きょうだいの中で障害があっ…