心の不調を抱える学生への対応を増やす大学がある。相談増加を受けたもので、今後の対応を心配する声もある。
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「個室ブースが不足したり、予約が多くて1~2週間待たせてしまったりする」
東洋大(東京都)のウェルネスセンターにある学生サポート室の鳥井いおりチーフ学生相談員は、近況をそう説明する。
学生数約3万人。東洋大によると、心の不調に関する学生の相談は、2014年度は7651件だったが、授業が減ったコロナ禍の期間を除いて増加傾向が続き、24年度は約1万3800件だった。1人あたりの面接回数が増え、以前の「8~9回」が「13回前後」になった。
相談は「大学に行けない」「授業が分からない」「つらい」「人と関われない」など。大量服薬で救急搬送されたり、「死にたい」と話したりする学生もいる。
臨床心理士と公認心理師の資格を持つ鳥井さんは「コロナ禍の鬱屈(うっくつ)したものが出たのかもしれない」。近年増えている通信制高校出身で、機会の少なかった集団での活動に戸惑い、不調となる学生もいるという。
臨床心理士や公認心理師の学生相談員は四つのキャンパスで計19人おり、7年前より3人増やした。社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持ち、障害のある学生を支援するキャンパスソーシャルワーカーも2キャンパスに計10人いる。
また、24時間対応できるように外部委託もしている。相談のきっかけになればと、アザラシ型のコミュニケーションロボットを採り入れたり、セラピードッグと触れ合う機会を作ったりする工夫も重ねている。
一方、相談の増加には、昨春施行の改正障害者差別解消法で、国公立大に加え、私立大にも障害を持つ人への「合理的配慮」が義務づけられた影響もあるという。授業・試験での必要な配慮のほかに、相談体制の強化なども含まれる。
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実際、発達障害のある学生からは心の不調に関係した相談も寄せられ、鳥井さんは「相談内容の個別性が高く、継続も必要。人手が必要で、相談件数が増え続けたら対応しきれなくなるという不安がある」と話す。
心の不調を抱えている大学生…