5年前、九州のある女子高。当時2年生だった女性(22)は、放課後の教室で、友人たちの愚痴を聞いていた。
「県外の大学に行きたかったのに、親に反対されて、だめだった」
進学をめぐる親からの「あるある」フレーズは、「女の子だし、何かあったときに心配」。それは「私」への心配なのか、それとも「親」に何かあったときに近くでサポートしてほしい、ということなのか。女性にはよくわからなかった。
女性はもともと県内の国公立志望だったが、周りには東京や関西の大学をめざす人もいた。ただ、その志望を通せるのは「名前の響きとかじゃなく、目的意識がすごく強い子だけだった」。
留学が盛んなことで有名な、あの大学に行きたい。この大学のチア部に入りたい。逆にそういった明確な理由が挙げられなければ、県外に行きたくても、親の反対をはねのけられない。
また、クラスではたびたび、「自分の進路なのに、お金で親の言うこと聞かされるのって、おかしくない?」と、議論が盛り上がった。
高校はバイト禁止。受験料や入学金はどうしたって、親にお願いせざるを得ない。だから言うことに逆らえない。それは、仕方ないことなのか……。答えは、まだ出ていない。
「女の子だから心配」「目の届くところにいて」――。そんな親の思いに、女性たちは立ち止まり、迷います。最終的に選んだ進路とは。記事の後半では、こうした言葉の背景にある親のジェンダー意識について、分析します。
「結局、みんな県内なんだ」 女子高で起きたこと
同じ女子高に通った女性(2…