「難民による犯罪の増加は事実」などと書かれた横断幕=2024年5月8日、オランダ東部オルデブルク、牛尾梓撮影

 青く茂った街路樹が立ち並ぶオランダ東部の閑静な住宅街に、横断幕や立て看板がずらりと並ぶ一角がある。

 「難民による犯罪の増加は事実」

 「難民申請者センターはいらない」

 人口2万4千人ほどのオルデブルク。昨年6月、この街に突如、難民の受け入れ施設を設置する計画が持ち上がった。

 「そんなものができるなら、ここには越してこなかった」

 予定地の近くに夫と移り住み、農場を始めたばかりだという女性は言った。普段、家のドアに鍵はかけず、車の鍵も付けっぱなし。施設ができれば、そんな生活も難しくなると感じる。

 元々、この街では1990年代の旧ユーゴ紛争から逃れた難民を受け入れていた。当時は教会などで交流があったという。

 だが今回、オランダ政府の難民申請者収容機関が街に対して難民申請者300人の受け入れを要請したことに、多くの住民は反発した。

 その理由は、10年ほど前にさかのぼる。

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