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【ニュートンから】楽器のサイエンス(2)

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楽器のサイエンス

 バイオリンとトランペットでは,同じ高さの音を出しても,それぞれがまったくちがう音に聞こえる。このような楽器ごとに固有の音色は,どのようにしてつくられるのだろうか。音色を決める要因は複雑だが,とくに大きな役割を果たしているのが「倍音」だ。

 弦楽器では,弦は大きな振動の中に小さな振動が含まれる複雑なゆれ方をする。これは弦がいくつもの固有振動数をもっているためだ。固有振動数の中で最も小さなものは「基本振動数」とよばれ,基本振動数による音は「基音」とよばれる。ほかの固有振動数による音は倍音とよばれる。倍音は振動数が基音の整数倍になっている。基音がラ(440ヘルツ)であれば,2倍音はその1オクターブ上のラ(880ヘルツ)となる。

 楽器では,ある高さの音を鳴らすと,その音を基音とする倍音も同時に複数発生している。楽器によって音色がちがうのは,楽器ごとにこれらの倍音の大きさがことなるからだ。

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楽器の音は,倍音が足し合わされてできている。上のイラストでは,大きさのことなる三つの倍音の波形と,それらが足し合わされた波形を示した。下のイラストでは,バイオリンとピアノ,フルートのそれぞれの波形を示した。音色のちがいは,倍音の組み合わせのちがいによって生まれる。

ピアノの発明と改良の歴史

 弦を鳴らす楽器にはピアノも含まれる。ピアノは弦をフェルト製のハンマーでたたくことで音を鳴らしている。ピアノの主な構成要素は,鍵盤,アクション,弦,響板,そしてフレームだ。

 「アクション」とは,指で鍵…

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