■変容と回帰 コロナ禍と文化
日曜の午後、東京都現代美術館のコレクション展示室を埋めていたのは、10~20代の若者たちだった。かつて「年配の趣味」と思われがちだった美術館が、いま静かに若返っている。
- 劇作家・野田秀樹がいま語るコロナ禍 文化は「共同体の礎」なんだ
「コロナ禍以降、若い来館者が本当に増えた。韓国や中国のキュレーターからも潮目が変わったと聞いており、世界的な現象だと感じる」と、学芸員の藪前知子さん。同じく都内にある国立西洋美術館や三菱一号館美術館の関係者も、共通の印象を語る。
国立アートリサーチセンターが毎年実施している「美術館に関する意識調査」の結果も、そんな実感を裏付ける。
2024年の調査では、首都圏在住の20代で「月に1回以上美術館を訪れる」と答えた人の割合は男性3.2%、女性2.2%。調査が始まった15年の男性0.5%、女性0.7%から、波はあるものの増加傾向だ。
23年の調査では、コロナ禍前よりも美術館に行く頻度が「増えた」と答えた首都圏在住者の割合が、20代は約27%。他の世代も含めた回答者全体では「増えた」は約10%、「減った」が約39%という結果と比べて突出している。
逆に60~70代は過半数が…