娘のキリーナさんの手を引くユーリ・メルニクさん=2025年6月30日、ウクライナ西部リビウ、藤原学思撮影

3分で読むショートストーリー 第2話

【連載】ウクライナ 10の物語

 ウクライナがロシアによる侵略の影に覆われて、3年半が過ぎた。あまりに多くの命が絶え、それでもなお、街には生が息づく。西部リビウを訪ね、人びとの声に耳をすませる。希望も失望も、ありのままを伝えたい。

 「平和」って聞くと、なにを思う? 6月末、ウクライナ西部リビウの公園で、8歳のキリーナに聞いた。

 「んー」。7秒の間。

 「ロシアがもう、いないこと」

 まっすぐなまなざし。小学生が悩んだ末にこんな返答をするほどに、ウクライナではロシアへの憎しみが広がっている。

 父親のユーリ・メルニク(46)は2014年からウクライナ軍に所属する。ロシアの全面侵攻が続くなか、家族とは半年に2週間ほどしか会えない。

 外出には娘の許可が必要だと…

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