《独立して3年ほどして一本の仕事が舞い込んだ。ミツワ石鹼(せっけん)の「ビタミューズ」というせっけんのコマーシャルだった》

 写真家・操上和美さんが半生を振り返る連載「88歳のポートレート 『ぎりぎりまで近づいて』」。全3回の第2回です。(2024年2月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して、配信しました。

 独立前にいた制作会社で一流のクリエーターと切磋琢磨(せっさたくま)するうちに、写真だけではなくて動画も撮ったり、CMの構成を考えたりすることもできるようになりました。初めてのムービー撮影の仕事で、企画や演出も任された。条件があって、モノクロの時代だったから、泡はきれいに映らないのでだめ。もちろん裸もNGでした。

 《1969年に放送されたCMには、胸元を手で隠した上半身裸の女性、泡風呂と、だめだと言われた要素を盛り込んだ》

 こういう時は「押さえ」なん…

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