真珠湾攻撃の地「パールハーバー国立記念公園」と原爆投下の地「広島平和記念公園」の姉妹公園協定を米国と広島市が2023年に締結した。広島市は協定を「未来志向で平和と和解の架け橋」だとするが、謝罪なき「和解」には一部の被爆者らから批判も根強い。パールハーバー国立記念公園管理監督者のトム・レザーマンさん(57)と、国際法上の核兵器の違法性を長年訴える元広島市長の平岡敬さん(97)に聞いた。

  • パールハーバーと平和記念公園 結ばれた「姉妹」から見た加害と被害

トム・レザーマンさん 平和への対話に参加資格はあるか

 パールハーバー国立記念公園は、ここで命を落とした人々にとどまらず、第2次世界大戦における米国の犠牲者をしのぶ場所になっています。私たちは常日頃から、死者を追悼し、記憶するだけでなく、過去に起きたこと、いま起きていることを人々が理解する手助けをしようとしています。それは1941年12月7日(米国時間)の真珠湾攻撃より以前に始まり、第2次世界大戦を経て米国と日本が和平と和解に至るまでのプロセスです。

 姉妹公園協定についていえば、(パールハーバー国立記念公園と広島平和記念公園の被害などに)違いがあることは理解しています。その違いを理解することこそが、私たちが前に進む手助けをしてくれるのです。

パールハーバー・ナショナル・メモリアルのトム・レザーマン管理監督者=2025年7月10日午後3時16分、米ホノルル市、興野優平撮影

 パールハーバーで何が起きたのか、広島で何が起きたのか。それらから学ぶことは、平和に向けての道筋はどのようなものか、どう私たちが手を携えていけるかなどに思いを巡らす手助けをしてくれる。それにとどまらず、今日の世界情勢が私たちにとってどういう意味を持つかを理解する助けにもなるでしょう。私は、平和についての対話に関わるべきではない主体があるのか、と問いたいです。

 また、(原爆の投下責任について)米政府の公式な声明を待っていては、その間、平和を推し進める機会を逃すことになるでしょう。

 パールハーバー国立記念公園が、現役の軍事基地の中にあることに批判的な意見もあると聞きました。私たち国立公園局は、海軍と密接に連携しています。(真珠湾攻撃で沈んだ戦艦アリゾナの犠牲者を追悼する)「USSアリゾナ記念館」に向かう船は、海軍が運航しています。

 しかし、軍こそが、私たちが…

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