自分に自信がもてず、傷つきやすかったり、他人に攻撃的になったり。「自己肯定感が低い」と悩んでいる人は、日常生活でさまざまな困難にぶつかります。その生きづらさの根幹には何があるのでしょう。自己肯定感の研究を続けてきた小児精神科医で青山学院大学教授の古荘純一さんは、「子どもの頃の成育環境と関係がある」と指摘します。
――「自己肯定感」とは、そもそも何を指すのですか。
自分を評価する際に、自身のありのままを「肯定的に」認める感情のことを指します。また、他者と比べて相対的に「自分は価値のある人間だ」と捉える気持ちは「自尊感情」と言います。1965年にアメリカの社会学者が「Self Esteem(セルフ エスティーム)」という言葉を提唱したことで広まりました。日本では、専門用語である「自尊感情」より「自己肯定感」という言葉が一般的に広く使われるようになりました。
日本人は自分自身を肯定的にみる人が少なく、自尊感情も他国に比べて低い傾向にあることは、さまざまな研究が示しています。
――日本人はなぜ、自分の良さを肯定的にみられないのでしょう。
結論は出ていませんが、日本…