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 1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件の被害のうち、4分の1超が営団地下鉄(現・東京メトロ)日比谷線の小伝馬町駅に集中していた。地下空間で、何が起きていたのか。

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 午前8時ごろ。同駅の駅員だった大室勉さん(60)は、宿直がまもなく終わるのを楽しみにしていた。

 「ワァー‼」。突然、奇声が聞こえた。ホームに出ると、両手を広げ、激しくふらつく会社員風の男性が目に入った。

 口から泡を吹き、両脇は他の乗客に支えられていた。背後から支えて事務所に連れていき、他の駅員に救急搬送を要請するよう伝えた。

写真・図版
東京メトロ霞ケ関駅のコンコースに立つ大室勉さん=東京・霞が関、菊池康全撮影

 当時日比谷線は通勤ラッシュ。遅れが出ていたため、改札で遅延証明書発行などをしたが、体のだるさを感じた。

 夜勤明けのせいだと思ったが、その場で倒れた。視界は真っ暗で、手足は動かず、乗客らの足音が聞こえた。やがて静かになり、病院に運ばれたとわかった。

 自らは大事には至らなかったが、事務所に運んだあの男性を含む4人が、小伝馬町駅で亡くなった、と後から知った。

 大室さんは事件後、駅のベン…

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