手作りしたパンを披露するさとのば大学2年生(当時)の明神光竜さん=2023年12月、宮城県女川町、同大提供
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 高知県出身の明神光竜(ひかり)さん(21)が、移住して学ぶ「さとのば大学」に入ったのは2年前の春だった。

 中学で人間関係のトラブルから不登校を経験し、高校で留学を志したが、コロナ禍で実現しなかった。世界7都市に移住しながら学ぶ米国のミネルバ大を受けたが不合格に。「高校時代、スピーチや観光PR動画のコンテストに次々と挑戦し、成績もよかった。ミネルバ大を受けてみて、実績が上がっただけで実力はついていないと気づいた」と語る。

  • 地方での実践を通じた学びが糧に 「さとのば大」発起人の信岡良亮さん

 東京の有名私立大に合格し、さとのば大は「ミネルバ大のミニチュア版」のように感じたが、「冒険を通して揺るぎない力をつけたい」との思いと、できて間もない大学の進化に関われるという期待がつのり、「通信制課程に入って学位も取るから」と親を説得した。

 1年目に住んだのは岐阜県郡上(ぐじょう)市。高校で課外活動に取り組んだ経験から、人とのやりとりには自信があったが、自分のことをうまく話すことができず、住民との距離が縮まらずに悩んだ。「食」に興味があり、現地の「郡上味噌」と高知でなじみの「帽子パン」を融合させた商品の開発に挑戦した。試行錯誤の末に完成し、味は好評だったが、経営者から商品化という点で厳しい意見を受けて落ち込む経験もした。

 昨年春からは宮城県女川町へ…

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