【ニュートンから】ペット医療の最前線(2)

 内科で行われる医療につづき,幹細胞を用いた先端医療である「再生医療」を紹介しよう。

 動物の体の組織はたえず入れかわっており,古くなった細胞が失われて新しい細胞が補充される。この新しい細胞を補充する役割をもつのが「幹細胞」だ。幹細胞には,みずからと同じ細胞を生みだす能力と,血液や神経,皮膚といったさまざまな組織の細胞を生みだす能力がそなわっている。このような幹細胞をけがや病気の治療に用いる「再生医療」が,イヌやネコでも行われているのだ。

 再生医療は,ペットから幹細胞を採取して体外でふやし,けがや病気をわずらっている個所に,ふやした細胞を移植するという流れで進められる。ペットの再生医療では皮下脂肪から幹細胞を採取し,それを培養することが多い。皮下脂肪には幹細胞が多く存在しており,ほかの組織とくらべて簡単に培養ができるためだ。ペットで再生医療が行われている分野はさまざまで,骨折をはじめ,椎間板ヘルニアや多発性関節炎,腎不全などがある。

設備の進歩で,大きながんも摘出可能になった

 外科では,骨折の治療や,固形がんの摘出手術を行っている。交通事故や高所からの落下といった大きな事故だけではなく,ソファーから落ちる,フローリングの床で滑るといった日常の小さな事故でもイヌやネコは骨折しやすい。

 ヒトとちがい,イヌやネコは…

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