【動画】「瓦礫の下から二人の幼子を救出する母」。母の表情や妹の位置、瓦も大きく変化します=中原雅さん提供、佐藤慈子撮影
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広島市立基町高校3年の中原雅さん(17)は、少し離れた場所から絵を確認した。
「……よし、良くなった気がする」
被爆者の内藤慎吾さん(86)が依頼した原爆の絵。崩れた瓦の下敷きになった当時2歳の妹と4歳の弟を、母が必死に助け出そうとしている場面だ。
昨年も原爆の絵を描いたが、瓦の山の絵は終わりが見えない修行のようだった。
最初は「明るすぎる」と却下。次は「瓦の向きがそろいすぎてる」「量が少ない」。次々と注文がついた。
【動画】瓦礫となった大量の瓦を一枚一枚描く=佐藤慈子撮影
さらに、瓦以上に苦心したのが、妹と弟を助け出す母の表情だった。6回目の内藤さんとの打ち合わせの日、恐る恐る尋ねた。
「お母さんの顔、どうですか…