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 長年、生計をともにした末の熟年離婚の後に、お互いの年金をどう分け合うか。老後の生活を左右する「年金分割」は、離婚協議や調停で論点になりやすい。複雑な制度には思わぬ「落とし穴」もある。

 社会保険労務士で、年金事務所で数多くの相談を受けてきた石渡登志喜さんのもとに数年前、離婚準備中だという女性が訪ねてきた。

 女性は、夫側の弁護士に「離婚をするなら、年金を必ず半分に分けなければいけない」と告げられたという。

 この夫婦は共働き。妻の職業は公務員で、厚生年金に加入していた。夫は自営業で、国民年金に加入していた。このケースで、納めてきた年金は必ず折半しなければならないのか。

 石渡さんによると、答えは「ノー」だ。夫側の言うとおりにすると、妻側にとって不利な分割になってしまうという。

 どういうことか。

離婚後の年金分割制度、よく知らないまま安易に合意してしまうと一方が損をすることも。専門家が分かりやすく解説します。シリーズ【熟年離婚のリアル】、次回は6月14日夕に配信予定。「死後離婚」について考えます

 年金分割の対象となるのは厚…

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