〈いつか本当に過労死するのではないかと考えると怖いです〉
〈精神も崩壊寸前〉
大阪府立高校の西本武史教諭(37)は2017年、そんな文面のメールを当時の校長に送った。
多忙を極めていた。抱えていた仕事は世界史の授業に加え、1年の担任、ラグビー部の主顧問と卓球部副顧問、大阪高校体育連盟のラグビー専門部専門委員……。
一番大変だったのは、海外研修の引率だった。行き先となるオーストラリア側と頻繁にメールのやりとりをした。
帰りは終電になり、自宅で授業準備をし、午前3時に就寝する日々が続いた。時間外勤務は「過労死ライン」とされる月80時間を大きく超える144時間に上った。
心身は追い詰められ、「電車に飛び込めば楽になる」とすら思った。校長に送ったメールはSOSの発信だった。
その後、西本さんは適応障害を発症し、約4カ月休暇・休職する。復職後、府を相手に損害賠償を求める裁判を起こし、22年に勝訴した。府は控訴しなかった。
心の病で休む公立学校の先生は、年に1万人を超えます。一因に、業務の多さや休みの少なさも挙げられます。防げなかった理由を、具体例の裁判記録や関係者への取材から考えます。
判決は、校長の対応が安全配…