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連載「閉じゆく世界 トランプ関税の衝撃」

トランプ米大統領の高関税政策が世界を大波乱に陥れています。超大国が内へと閉じていく中、世界はこのまま危機に向かうのか。人々の暮らしへの影響は。トランプ関税がもたらす衝撃を多角的に掘り下げます。

 「ウソだろ……」。山形県で農業を営む男性(70)は8日朝、スマートフォンの画面に言葉を失った。

 そこには「評価損益合計マイナス6万4323円」とあった。昨年始めた新NISA(少額投資非課税制度)口座の投資信託で、含み損率は15%以上となっていた。

 前日7日、日経平均株価が史上3番目の下げ幅を記録していた。「覚悟はしていたけれど、ここまでとは」

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山形県の自営業男性は7日の世界的な株安を受け、NISAの損失が拡大した=本人提供

 含み損の理由はトランプ米大統領が掲げた「相互関税」だ。2日に詳細が明らかになると、世界経済が急激に悪化するとの懸念が広がり、世界同時株安の連鎖に陥った。

 だが、9日にトランプ氏がSNSで関税の一部の90日間停止を表明すると、市場は一転。日経平均は今度は史上2番目の上げ幅を記録した。

 トランプ氏の言動に世界の金…

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