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水難事故の当日、高瀬の川原に多くの人が訪れ、車やテントが並んでいた=2020年8月23日、徳島県神山町、分銅祥貴さん提供

水難事故マップの現場から

水の事故約1万件を分析して分かった浮かび上がった事故集中エリア。それぞれの場所で、どんな事故が、なぜ相次いでいるのか。記者が現地を訪れ原因に迫ります。

人が多い人気スポットの川で

 川に浮かべたカヤックから景色を撮影していた時だった。

 近くには、数人で泳ぐ少年たち。「ふざけあってるんだな」。2020年8月23日の午後、分銅祥貴(ぶんどうよしたか)さん(48)は、カメラを回し続けた。

 徳島県東部を流れる鮎喰(あくい)川(全長43キロメートル)。その中流域に、「高瀬の川原」がある。地元の神山町が駐車場やトイレを整備した人気スポット。多くの車やテントが並んでいた。

写真・図版
徳島県・鮎喰川

 分銅さんもこの日、神戸市から家族3人で訪れていた。

 何げなく撮影していた動画。1人の少年が水面から顔を出した後、一瞬で消える様子が映っていた。

 「助けて!」。周りの誰かが叫んだ。

 分銅さんも「遊びじゃない」と気づく。カヤックで近付いて水中に目を凝らす。水深2メートルほどの川底に、少年が垂直に沈んでいるのが見えた。

 すぐさま飛び込んだ。

 記事の後半には、「高瀬の川原」の様子や偶然映り込んだ水難事故の映像などをまとめた動画があります。

 少年を両足から抱え上げ、カ…

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