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東京都議補選で街頭演説する日本維新の会の音喜多駿政調会長(左)=2024年7月2日午後7時7分、東京都北区、小林圭撮影
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 大阪発の地域政党から「全国政党」になれるのか。2012年の衆院選で、野党第2党に躍り出てから10年あまり。日本維新の会は、関西では存在感を維持するものの、全国的な広がりは道半ばだ。国民の耳目を集める風頼みの手法が、壁にぶつかっている。

 「127ある都議会の議席のうち、一つしか議席がない」「大阪でできた改革が、東京でできないわけがない」

都議補選、都知事選でみえる大阪以外での地盤の弱さ

 2日、東京都北区のJR王子駅前であった都議補欠選挙(7日投開票)の街頭演説。音喜多駿政調会長がマイクを握ったが、足を止めて演説に耳を傾けていたのは十数人ほど。結局、維新が擁立した2人の公認候補はいずれも落選した。

 東京維新の会代表の柳ケ瀬裕文総務会長は「定数1の都内地方議会選挙で議席を獲得する地力は、今の東京維新の会にはまだありません」とコメントを出した。現状、東京を選挙区とする維新の国会議員は衆院2人、参院1人の計3人にとどまる。同日投開票の都知事選では、独自候補を立てようと模索する動きもあったが、果たせずに終わった。関西以外での地盤の弱さが、今回改めて浮き彫りになった。

 2010年に党代表に就いた橋下徹氏のブームに始まり、大阪都構想や大阪・関西万博の誘致、大阪市と大阪府知事が入れ替わる「クロス選」など、政策や選挙で話題を作り、風を巻き起こしてきた。第2次安倍政権下では野党が分裂し、1強他弱と呼ばれる状態が続いた。維新も離合集散し、一時党勢が低迷したが21年の衆院選で勢力を増し、今は「第3極」の地位を占める。昨春の統一地方選では、首長や地方議員を選挙前の1・5倍の600人超とする目標を掲げ、これを達成。全国政党化への足がかりとされた。

 ところがその直後、勢いが止まった。

 きっかけは誘致の旗を振った万博のつまずきだった。工費の上ぶれや施設建設の遅れが指摘され、批判の矛先は維新へと向かった。さらに自民党派閥の裏金事件が発覚。政権批判を強める立憲民主党の存在感が増し、維新は埋没した。幹部は「政権批判票が立憲に流れている」と嘆く。

躍進、そして失速 そのわけは

 こうしたなか、今年3月の党…

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