「虐待」の概念が自身の経験とつながったのは、ネットの情報にふれたことがきっかけだった。
3年前、女性(18)はスマートフォンを見て戦慄(せんりつ)した。
「自分が母親からされてきたことは『宗教虐待』だったのかもしれない」と初めて思った。
母は、あるキリスト教系新宗教の信者。教団のことを「ネットで検索してはいけない」と母に言われ、従ってきた。どんな行為を受けても、「宗教一筋の母を悲しませたくない」と思い続けてきたからだ。
幼い頃から、日曜日は地元の家を一軒ずつ訪ねる布教活動に連れていかれた。
母は同級生を「サタン(悪魔)」と呼び、「あんな子たちと遊んじゃだめ」と言った。
教団の集会に行きたくないと言うと、おしりを何度もたたかれた。
それでも、母の顔色をうかがいながら、母の言葉に従い、熱心な信者のように取り繕ってきた。スマホで検索してみたのは、「宗教2世」「宗教虐待」という言葉を報道などで目にし、初めて心がざわついたからだった。
親の信仰によって生きづらさを抱える「宗教2世」の問題は、2022年の安倍晋三元首相銃撃事件以降、注目されました。虐待行為であっても、信仰が背景にある場合、子どもがそれに気づきづらい事情があるといいます。課題と、必要な支援について考えます。
「宗教虐待」をめぐっては2…