北海道十勝地方の霊峰・剣山の登山口近くに「聖火の郷 世界平和統一家庭連合」と書かれた看板が立つ。山林の中の広大な敷地に、慰霊塔や広場がある。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)のウェブサイトなどによると、教団は例年、この地で千人規模の儀式を催す。昨年9月も、田中富広会長らが出席した。
登記簿などによると、教団は2003年と14年に一帯の土地(計約83ヘクタール)を取得した。以前の所有者は北海道帯広市の宗教法人「天地正教」だった。
今年3月、その天地正教の名が注目された。東京地裁が旧統一教会に解散を命じた決定文に、次のような趣旨の記載があったからだ。教団は09年、解散時の残余財産の帰属先を天地正教とすることを決めた――。
天地正教関係者によると、1956年に創始した前身教団の初代教主(94年死去)が旧統一教会に傾倒し、接点ができたという。旧統一教会によると、天地正教は99年、旧統一教会との「和合」を宣言した。帯広市の施設は今、入り口が施錠され、住民によると人の出入りはないという。
銃撃事件から3年
安倍晋三元首相(当時67)が参院選の演説中に撃たれ、死亡した事件から8日で3年が経った。解散を命じられた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)がいま何を考え、どこに向かおうとしているのかを描く連載の3回目。
旧統一教会関連の訴訟の経験…