国会議事堂=2025年6月30日午前8時10分、東京都千代田区、岩下毅撮影

 自民党派閥による裏金問題は、「政治とカネ」に関する制度を見直すきっかけとなった。政治資金の公開を進める方策は一定の合意が得られたものの、着地点を見いだせない課題がある。民意をくみとり、政策に反映させる活動に必要な資金は、誰が、どのような形で負担するべきなのか。

 通常国会の閉会を3日後に控えた6月19日。「政治とカネ」に関わる議論をする衆院の政治改革特別委員会では、与野党間で交わることのない討論が続いていた。テーマは、企業や労働組合から政党への献金のあり方だった。

連載「ニッポンの現在地 2025参院選」

法律や予算によって様々な政策の方向性を決める政治。私たちの生活と直接、間接につながっています。「対トランプ」「物価高対策」など八つのテーマについて現在地と課題をお伝えする連載です。

 「国民の多様な意見を政策に反映させるには、個人や企業・団体に資金の支え手として参画していただくことが重要」(自民・長谷川淳二氏)

 「政治不信の根源となった自民党が、責任のある態度をまったく示さなかった。自民の法案は効果のあるものではない」(立憲民主党・大串博志氏)

 裏金問題を受けた政治改革の議論は、政治資金パーティー券の購入者の公開基準引き下げなど、一定の法改正につながった。一方、政治活動を支える資金を、誰が、どう担うかの議論は各党の隔たりが埋まらない。その象徴が企業・団体献金だ。

 リクルート事件(1988年発覚)などを契機とした94年の「平成の政治改革」を経て、企業・団体は政治家個人に献金することが禁止された。企業からの献金の窓口を政党に限定することで、特定の政治家との癒着を防ぐのが狙いだった。

 だが、政治家は地元の「政党…

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