カノサ・マティアスさん(手前)に、「ゆっくり優しく」と助言する金継ぎ作家の大谷ユキさん=2024年1月12日、東京都杉並区、河崎優子撮影
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 壊れた陶器を漆や金で修復する日本の伝統技法「金継ぎ」。ここ数年、「Kintsugi(キンツギ)」として、その技と心が世界で注目を集めている。

ウクライナやイスラエルの周辺国から依頼

 東京都杉並区の荻窪駅近くにあるビルの2階に、木製の古びた机や椅子が並び、間接照明がともる温かい空間があった。金継ぎ教室が開かれているギャラリー「6次元」だ。

 1月中旬、茶わんの割れ目に筆で金粉をまぶす外国人がいた。アルゼンチン人のカノサ・マティアスさん(39)だ。「6次元」を開く金継ぎ作家のナカムラクニオさん(52)がマティアスさんに「ジェントリー(優しく)、スローリー(ゆっくり)」と声をかけている。

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 マティアスさんは日本語を学ぶため、昨年10月に来日し、都内に住んでいる。金継ぎは10年ほど前に知り、自宅で一人で試したこともある。「壊れたから捨てるのではなく、過去も今も全て受け入れて、唯一無二のものに仕上げる。その哲学が素晴らしい」

記事後半では、ブラジルに住む元モデルの女性が、金継ぎの概念を生かした家具職人に転身した姿を描きます。

 日本に来る前はスペインで写…

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