【動画】「8月6日、汽車の出発を待つ被爆者(向洋駅)」。駅の壁が窓になり、屋内外の対比が浮かび上がります=辻明利さん提供、佐藤慈子撮影
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80歳で看護師を引退してから証言活動を始めた脇舛友子さん(83)は、今年初めて、広島市立基町高校に「原爆の絵」を依頼した。
描いてもらいたかったのは、被爆した人とすれ違って恐ろしい思いをしたが、到着した駅で心優しい婦人に出会えてほっとした時の場面だ。原爆の絵らしい場面ではないかもしれないと気になっていた。
でも、だからこそ描きたいと手をあげた高校生がいた。現在3年生の辻明利(あかり)さん(17)。心身の苦しかった記憶を描く作品が多い中、ほっとしたというポジティブな気持ちに焦点を当てたものは新鮮に感じたという。
3月中旬、辻さんは脇舛さんが駅まで歩いたという4キロの道のりを体験してみることにした。
春なのに気温は高く、かなり…