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 育った環境にかかわらず望んだ高等教育が受けられるよう、奨学金制度は年々拡充され、様々な条件で利用できるようになってきました。一方で、多様で複雑な制度であるがゆえに、必要な情報が学生に十分に行き届いていないことも指摘されてきました。奨学金制度に詳しい桜美林大学の小林雅之特任教授(教育社会学)に聞きました。

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小林雅之特任教授=本人提供

 Q 奨学金の制度が「わかりづらい」との声を多く聞きます。

 A いまや学生の2人に1人が利用していると言われる日本の奨学金は、いわば「申請主義」です。学生の申請任せでは、本来はもらえるはずの奨学金をもらっていない学生が出てきます。

 私たちの調査では、全学生のうちおよそ2割が申請すればもらえるはずの奨学金を受給できていない、という推計が出ました。世帯の所得が変わると、支給される金額が変わることや、成績の要件があることも知らない人が少なくありません。

 奨学金制度について理解が十分に浸透していない背景には、制度を利用できる学生の対象を広げようと制度改革を繰り返した結果、わかりづらい仕組みになっていることと、情報提供が非常に不足している現状があります。

海外ではガイダンス義務化も

 Q 情報提供にはどのような課題がありますか。

 A 多くの学生が奨学金を利用する日本学生支援機構(JASSO)も、サイトやSNSでわかりやすい発信をしようと工夫をしていますが、高校生や大学生が十分理解できるものにはなっていないように感じます。

 JASSOが学校などにファ…

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