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愛工大名電高野球部を指導するイチローさん=2024年11月18日午後2時32分、愛知県春日井市
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 母校のグラウンドは想像していたよりも変わっていた。

 ひたむきに汗を流す選手たちの姿は30年以上前と変わらない。寮の部屋や食堂もあの頃と同じ。ただ、その練習風景はまるで違った。

 昨年11月。現役引退後、初めて愛工大名電高(愛知)の野球部を訪れたイチローさんは、驚きを隠せなかった。

 「すごい施設。今どきだよね」

 ブルペンには投球の回転数や変化量などを計測できる弾道測定器「ラプソード」が設置され、打撃練習では打球速度や打球角度が手元の端末に映し出される。

 投げる、打つ、走る。すべての動きが最新機器によって数値化されていた。

 ただ、その表情には険しさも潜んでいた。

 「データでがんじがらめになって、選手それぞれの感性が消えていないか」。そう感じたからだ。

 後輩たちが目先の数字ばかりを追い求め、データによって野球が管理されるのではないか――。

 イチローさんは2019年の現役引退後、大リーグ・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターとして試合や練習を見てきた。そこで感じるのが「データ野球」の進化だ。

 科学の発達で投手の球種、打者の打球方向などの傾向も可視化され、それに基づいて監督やコーチから作戦の指示が出される。選手は試合中もベンチで端末が手放せなくなった。

 そんな手法が日本のプロ野球だけでなく、アマチュア野球にも浸透してきた。愛工大名電は高校野球界では先んじて最新機器を取り入れていた。

 イチローさんはデータを否定…

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