連載「はにわのフシギ」
特別展「はにわ」(朝日新聞社など主催)が開催中の東京国立博物館(東博)を訪れた人は、関連グッズの豊富さに目を見張るに違いない。クリアファイルなどの定番商品に加え、武人埴輪(はにわ)を模した着ぐるみ風のルームウェア、ぬいぐるみ、埴輪の形をした落雁(らくがん)……。古代人の墓に立て並べられていた造形物の埴輪が、なぜこれほど「市民権」を得ることが出来たのだろうか。
新婚さんが訪れた「はにわ園」
きっかけの一つは、1960~70年代に最盛期を迎えた宮崎県への新婚旅行ブームだ。60年、昭和天皇の5女の島津貴子さん、次いで皇太子と皇太子妃だった現在の上皇ご夫妻が訪れ、74年にはこの年に結婚したカップルの35%にあたる37万組が宮崎市に宿泊したと言われる。
そのころ、新婚さんが必ず訪れた場所の一つが「はにわ園」(宮崎市)だった。県立平和台公園の一角に63年に開設された約400体の埴輪の複製が立ち並ぶ施設で、最初の観覧者は皇太子ご夫妻だ。
このはにわ園の埴輪を制作し…