7月初旬の午後8時。学生団体「GeNuine(ジェヌイン)」のメンバー3人が、オンライン会議に集まった。議題の一つは、被爆者団体で相談員を40年務める人へのインタビュー。何を質問するか、話を聞く予定の相談員について書かれた記事を皆で読み、考える。
「自分は被爆者でも被爆2世でもないって書いてあった。私たちとおんなじ。そういう立場で取り組む思いを聞けたらいいかな」
そう意見を述べた、ある大学院生(22)は、メンバーになって1年ほどになる。
「女子御三家」と呼ばれる都内の難関中高一貫校を卒業後、女子大に進学。数学を専攻し、今春から大学院で暗号理論やサイバーセキュリティーを研究している。
昨秋、留学に向けた研修会で、たまたまGeNuineのメンバーと出会った。核兵器廃絶とジェンダー平等をめざす団体だ。
もともとジェンダーには関心があった。女子学生にプログラミングを教えるNPO、女性起業家を支援する会社などでインターンをしたことがある。
核兵器を巡っても、軍縮で政策を決めるのは男性ばかりだったり、被爆者の女性が「母」になれない、男性なら「大黒柱」になれないとして結婚で差別されたりと、性別による様々な不平等が潜んでいることを知った。
「核兵器にもジェンダーが関係あるんだって、新鮮な感じだった」
ウェブサイトや動画の制作など理系の力を生かせそうだと、メンバーになった。
今年3月、GeNuineについて伝える記事が地方紙に掲載され、父(58)に報告した。
「就職活動に響くから、名前…