【動画】基町アパート物語 -ヒロシマを記憶する街- テーマ動画

 「一等地なのに、入居者は生産性のない高齢者ばかり」「壊して高級ホテルでも誘致した方がいい」

 基町アパートを扱ったユーチューブ動画に、そんなコメントがつけられている。隣には新サッカースタジアム、原爆ドームまで徒歩15分。立地のよさもあってか、冷ややかな視線を向ける人がいる。

基町アパートに隣接する新スタジアムではサッカー日本代表の試合も開かれた=2024年6月11日午後5時43分、広島市中区、上田潤撮影

 一方で、ここでの暮らしを未来につなごうと奮闘する若者の姿もある。

 「半分カフェで半分ギャラリー。日常づかいできる場所に改装したいんです」。商店街の一角にある閉店した生活雑貨店「大橋商店」。まだがらんとした店内を案内してくれたのは、広島工業大学の大学院で建築史を学ぶ原琉太さん(23)だ。

 昨年11月から「特例的入居」制度で基町アパートに住み、地域活性化を目指し活動している。

広島工業大院生の原琉太さん。地域活性化を目指し、基町アパートに暮らしている=広島市中区、上田潤撮影

 この制度は広島市が2015年に始めた。地域貢献活動などを要件に入居時の収入要件を緩和し、Uターン世帯や若年世帯、学生を受け入れている。6月1日現在で45世帯が制度を使ってアパートに入居している。

 建築のコンペで基町アパートを扱ったことが縁で、入居した原さん。自身は比較的すぐに暮らしになじめたが、他の特例的入居者からは孤立に悩む声も聞いた。

 「地域交流がしたいと思って…

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