懲役と禁錮を廃止し、拘禁刑に一本化する改正刑法が6月1日に施行された。刑罰の軸足を「懲らしめ」から「立ち直り」へ移す大転換の背景と、課題とは。刑務所などの矯正施設を所管する法務省矯正局の小山定明局長(60)に聞いた。

 ――年齢や障害など特性に応じた処遇をめざすということですが、いつごろから問題意識があったのでしょうか。

 元衆院議員の山本譲司さんが服役の経験を書いた「獄窓記」を出版し、高齢者や障害のある受刑者への処遇の問題を提起したのが2003年のことです。社会的な反響も呼びましたが、私たち矯正に関わる者にとってもインパクトがありました。

 高齢の方については、他の受刑者と足並みをそろえて歩けない、認知症がひどくなるといった形で問題が顕在化していました。一方で、軽度の知的障害や発達障害のある方については、問題意識があったとは言えません。

  • 【元受刑者の思い】出所後に戻りたくなった刑務所
法務省の小山定明・矯正局長=2025年5月26日、法務省、二階堂友紀撮影

「規律秩序」重視の陰で

 ――見えていない問題だったと。

 これは良いこととは言えない…

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