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異次元緩和 11年目の転換

 バブル期以来となる賃上げの波が、日本を席巻する。日本銀行が異次元緩和から転換を決めたのも、その波が後押しした。

 3月8日、都内の展示場で開かれた就職説明会では、「初任給」をPRする掲示物が目立った。

 牛丼チェーンなどを運営する松屋フーズホールディングスは、大卒初任給を23万円から25万円に引き上げる。採用担当者は「2期連続でベアもしている。そこに引きつけてアピールしたい」としつつ、こうも言った。「外食は各社とも初任給を上げている。差別化が難しい」

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松屋フーズホールディングスの就職説明会のブースには「初任給引き上げ」の掲示がされていた=2024年3月8日、東京都江東区、岩沢志気撮影

 イベントを主催した就職情報会社マイナビの調査(1842社が回答)によると、2025年卒の学生の採用では47・2%が初任給を引き上げる予定だと回答したという。

賃上げ、33年ぶりの水準へ

 今春闘での賃上げ率は、連合の集計で平均5・25%。1991年以来33年ぶりの高水準になりそうだ。マイナス金利解除など異次元緩和転換を決めた19日、日銀の植田和男総裁は「賃金と物価の好循環の強まり」を確認したと宣言した。

 国債を大量買いするなどして金融市場にマネーを流し込み、金利を下げて企業の投資や個人の消費を促し、経済活動が活発になって物価が上がる――。アベノミクスの柱として13年春に始まった異次元緩和は、そんな絵図を描いていた。

 現状はどうか。超低金利で他…

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