クリスマスにローストビーフを親子で焼いたこと。誕生日にはみんなそろって、ごちそうやケーキでお祝いをしたこと……。
楽しかった家族の思い出は、たしかにある。けれど、そんな子どもの頃の記憶を呼び起こすたび、東京都の30代女性は、かつて母親に負わされた心の傷がうずくのを感じる。
女性が5歳の時に母親は離婚し、女性と三つ下の妹を、ひとりで育てるようになった。
教員の母親は教育熱心だった。前夫からの養育費は全て姉妹の習い事や学費につぎ込み、幼い頃からピアノやバレエ、英会話などに通わされた。ピアノの練習をさぼって怒鳴られ、夜通し練習させられたこともあった。
「こんなに頑張ってあんたたちを育ててるのに」
「わがままな親不孝者」
手伝いを忘れたり、言うことをきかなかったりすると、母親はカッとなって、そんな言葉を姉妹に浴びせた。
母親がどこで怒り出すのかは、まるで予測できなかった。
母の日のプレゼント 返ってきた怒号
機嫌が悪い時には平手やタオ…