Smiley face
写真・図版
バンコクで2024年8月6日、王宮を訪れた観光客たち=ロイター

タイ開発研究所リサーチフェロー ノナリト・ビソニャブト氏

 長年にわたり賭博が原則禁止とされてきたタイで、カジノの解禁に向けた議論が進んでいます。世論は割れる中、なぜ合法化に動くのか。同国の経済やカジノを取り巻く議論に詳しい、タイ開発研究所リサーチフェローのノナリト・ビソニャブト氏に聞きました。

 ――政府はカジノを含む複合娯楽施設(EC)の解禁を目指しています。

 長年にわたって低成長に苦しんできたタイは、海外からの投資やお金の流入を必要としています。政府がカジノやECの設置を通じて外国から収入を得ようとしているのであれば、私はその考えに賛成です。

  • タイが抱える「地下経済」のジレンマ カジノ解禁目指す政権の狙いは
  • 「賭博禁止」だったタイの大きな賭け、吉と出るか 特派員メモ

 タイは観光立国です。観光産業は国内総生産(GDP)の12~20%程度を占め、コロナ禍前の外国人訪問者数は年間4千万人規模でした。今後も経済成長を持続させたければ、少なくともさらに2千万人を上乗せする必要があります。

 ビーチや山間リゾートなどしか観光資源がない国で、それが可能か。私は「ノー」だと思います。いま、タイにはECのような「人工的な観光資源」が求められます。外国人客の滞在日数を1~2日延ばせる可能性があり、ゲーム産業の発展などにも貢献するでしょう。

 ――カジノは国を救う特効薬ですか。

【連載】カジノフロンティア 岐路に立つ東南アジア

高所得国入りを目指すなか、カジノは経済発展の助けになるのか。インタビュー後半では、ギャンブルとタイ人の性質について、語っています。

 カジノ解禁だけで、大きく発…

共有