特集「8がけ社会」 韓国編⑦
韓国では、外国人労働者を受け入れる一連のプロセスを公的な機関が仕切っています。「雇用許可制」と呼ばれる仕組みです。悪質なブローカーを介在させず、渡航者の経済的な負担を抑えているとして国際的にも高く評価されてきました。
ただ、どんな制度も、時の経過とともに新たな課題が出てきます。制度の「生みの親」の一人である韓国・全北大の薛東勲(ソルドンフン)教授は、現状をどうみているのでしょうか?
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――2004年に雇用許可制ができました。なぜこの制度をつくることになったのでしょうか。
03年2月、大統領に就任した盧武鉉(ノムヒョン)氏は、韓国に住む(中国籍の)朝鮮族などが厳しい労働環境にあることに心を痛めていました。(政府として)熟練度が低い外国人労働者にも韓国人と同じ労働条件を保障する仕組みをつくることにしたのです。
当初は製造業が念頭にありましたが、農業や漁業、建設業などの業種も対象になって今に至ります。
【連載】「移民」争奪戦 韓国のリアル
「超少子化」に直面する韓国が外国人の働き手を増やそうとしています。日本とも共通する課題に取り組む現場の今を探ろうと2人の記者が取材に向かいました。記事後半では、韓国の雇用許可制が抱える課題をお伝えします。
――それまではどのような制度だったのでしょうか。
日本の技能実習制度に似た「…