「高齢者見習い 50代の準備」

 58歳の「アラ還」記者にとって、年金をどんな方法で受け取るかは切実な問題です。「マネーリテラシー」は低めで、ずぼら、めんどうくさがり。今のところは健康で、働くのは嫌いじゃない……。

 そんな自分の特性を考えると、戦略の柱は「長く働き、年金の繰り下げ受給をする」が向いていると考えています。

 年金の標準的な支給開始年齢は65歳です。私の目標は、これを5年遅らせて70歳から受け取り始める「繰り下げ受給」です。これだと、年金は名目額(税・社会保険料が引かれる前の額)で42%増えます。

年金 私たちの暮らしは

老後の生活を支える公的年金。新たに「年金担当」になった30代記者と、受給開始がそろそろ見えてきた50代記者が、複雑な制度や将来の見通しなどを読み解きます。

 「年金が増えても、天引きされる税や社会保険料も増えるので、手取りは額面ほど増えない」とか「受け取りを遅らせて、早く亡くなったら損になる」という指摘については、前回の記事で考えました。

  • マネーリテラシー低め… 自分に向いていると思う年金の受給方法とは

 でも、気になることがありました。周囲を見渡しても、「繰り下げ受給」をしている人があまりいないのです。70歳の受給権者について、利用状況を見ると、厚生年金では2.9万人で全体の2.1%、基礎年金は4.3万人で2.8%にとどまっています。

 「繰り下げ受給」がなぜ、普及しないのか。調べてみると、いくつかの事情がありました。

 50歳代の視点で読み解きます。

先輩たちには60歳代前半の年金がある

 先ほど、「年金の標準的な支…

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