【連載】老いる韓国 「超高齢化」のリアル 第7回
映画やドラマは、その社会のありようや変化をよく映し出します。韓国の急速な高齢化は、韓国の映画やドラマの内容にも影響を与えているのでしょうか。「現地発 韓国映画・ドラマのなぜ?」などの著書がある韓国在住の文化系ライター、成川彩さんに聞きました。
――韓国は急速に高齢化が進んでいますね。映画やドラマでも「高齢化」「老い」といったテーマが取り上げられることは多いですか?
最近5年ほどの間に、映画やドラマで高齢者が主人公や重要なキャラクターとして描かれることが増えたと感じます。
2021年の「ナビレラ」というドラマは、おじいさんと青年が主人公でした。おじいさんは認知症で、それを隠し、家族に反対されながらも、小さい頃からやりたかったバレエを習い始める、という内容です。青年がおじいさんにバレエを教えるうちに、2人の間に世代を超えた友情が生まれるという物語です。
今年公開された「遠足」という映画も、主人公が3人とも高齢者で、70代の男女の友情や家族との葛藤などが描かれていました。比較的明るい内容ですが、同時にお年寄りの「疎外感」も描かれていました。自分が「邪魔者」であり、これ以上家族に経済的、心理的な負担をかけたくない、そういう状況で生き続けたくない、という思いですね。この「高齢者の疎外感」は韓国社会がまさにいま、向き合っている問題だと思います。
【連載】老いる韓国 「超高齢化」のリアル
日本を上回るペースで進む韓国の「超高齢化」について報告します。超少子化、移民に続き、韓国の人口問題を考えるシリーズの第3弾となります。全9回。うち第5回までは韓国の現場の動きを紹介。第6回は日韓連携の可能性を探ります。第7回以降はインタビュー編となります。
- 【第1弾】「出生率0.72」の韓国 超少子化社会のリアル
- 【第2弾】「移民」争奪戦 韓国のリアル
――「高齢者の描かれ方」にも変化はありますか?
ありますね。主人公の祖父母…