これまでの「代打」はすべて閣僚だった。いま務める政府の要も「代打」だった。ただ、長年求めてきた首相の座は自ら勝ち取るしかない。
「地元の期待に応えられるよう、覚悟はいつも持っている」。官房長官の林芳正(63)は、7月20日、地元の山口県内で開いた国政報告会でこう語ったという。
支援者の一人は「覚悟」という言葉を聞き、感じた。首相の岸田文雄が9月の総裁選への出馬を見送れば、自らが立候補する覚悟はある、と。
戦前は初代の伊藤博文から始まり山県有朋ら計5人、戦後は岸信介、佐藤栄作、安倍晋三。山口は、これまでに8人の首相が輩出してきた。国会議員ならば首相をめざすのが当然とみる土地柄で、林も自民の政権復帰が確実視されていた2012年総裁選に出馬。官房長官となったいま、「次」への期待はいや応なく高まっている。翌21日にあった別の会合では、林の後援会長が約1500人を前に「近い将来、長州9人目の宰相として国家の発展に尽力されることを期待している」と語った。
林は、同県下関市を中心に…