参院選が佳境です。一票を投じる権利は、歴史を振り返ると、決して「当たり前」ではありませんでした。選挙に参加できるとは、どんな意味を持つのか。受刑者に選挙権を認めていない公職選挙法を「違憲」と争っている裁判の原告代理人、吉田京子弁護士に話を聞きました。
- 「鼻をつまんで一票」の次の景色が見てみたい 政治や社会変えるため
選挙の歴史は、選挙人資格拡大の歴史でした。
日本の選挙の出発点は1890年の制限選挙です。25歳以上の男性で直接国税を15円以上納めている人しか投票できませんでした。1925年に男子普通選挙が実現し、納税要件がなくなって25歳以上の男性は原則投票できることになりましたが、女性も含めた完全な普通選挙の実現にはさらに20年の時が必要でした。
これで終わりではありません。戦後も、海外に住む人は長く投票を許されていませんでしたが、98年の制度改正と2005年の在外選挙権訴訟での最高裁による違憲判決を受け、投票できるようになりました。認知症や知的障害などにより成年後見人を立てた人も、選挙権を失うと公職選挙法が定めていましたが、13年の東京地裁の違憲判決を機にその制限はなくなりました。
「声を持つ者」になりたい
なぜ選挙権を求める人がやま…